冷たい霜が降る朝に(2)和泉式部日記から

2.一晩中お待ちして
釈文:「おきながら明かせる霜の朝(あした)こそ まされるものは世になかりけれ」

選字は「起き奈可羅あ可勢流し毛能朝こ所 ま佐連る裳農盤 世に那可り遣れ」

歌意は「お越しを待って、起きたまま夜を明かしました。冷たい霜が白く降りて、とうとうおいでになりませんでした。こうした思いは物思い以上につらく思われます。」

鑑賞:「起き」に「置き」(霜の縁語)をかけた。「まされる」は宮の歌の末句をうける。

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社