荻の葉擦れの音を(6)和泉式部日記を書いて

6.牛車の迎えが
釈文:「しのびたる所におはしますとて、例の車あれば、今はただのたまはせんにしたがひて、と思へば、参りぬ。」

選字は「し能飛多流所爾お 者し万須とて例の車あれ盤今者多ヽの堂まは勢无二し多可ひて登思へ盤満ゐ りぬ」

鑑賞:「例の車」迎えの牛車がやってきたこと。「参りぬ」以前であれば、抵抗感があった女であるが、このときは、宮の方違え先へ行ったことをさす。心境に変化が生じているか。

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社