寝覚めの夢をふしみの旅路で(7)和泉式部日記より

7.伏見の里を
釈文:「ねぬる夜の寝覚めの夢にならひてぞ ふしみの里を今朝はおきける」

選字は「年ぬ流よ農寝佐め乃夢爾奈羅日て處 婦し美農里越介散者於支幾る」

歌意は「一人で寝る夜の、寝覚めの夢に慣れてしまい、あなたと共に過ごした里で、今朝は早く目覚めてしまいました。」

鑑賞:「ならひ」に「並び」を、「ふしみ」に地名の「伏見」と「伏し見」をかけた。「見」は「夢」の縁語。三位兼隆の家が伏見にあったのだろう。

参考文献:和泉式部日記 清水文雄校注 岩波文庫