時雨の紅葉・風の前なる(12)和泉式部日記を書いて

12.高瀬舟よ
釈文「高瀬舟はやこぎ出でよさはること さしかへりにし蘆間分けたり と聞えたるをおぼし忘れたるにや」

選字は「高瀬舟者やこ支出傳よ沙盤るこ登 佐し可遍り爾阿事ま利希多里 とき故(え)多流を本し忘連たる爾や」

歌意は「高瀬舟よ、すぐに漕ぎ出していらしてください。障りがあるからと棹さしてお帰りになった。それをとり除いて、蘆間をあけておりますから、と詠んで差し上げた歌の真意をお忘れになられたのでしょうか。」

参考文献:和泉式部日記 清水文雄校注 岩波文庫