時雨の紅葉・風の前なる(8)和泉式部日記を書いて
8.そよやそよ
釈文:「とあるを、ご覧じて『そよやそよなどて山べを見ざりけん けさはくゆれどなにのかひなし』」
選字は「登ある越こら无志て 處よや曽与難とて山遍を見さ利希无 遣佐者具遊連とな耳能可飛奈志」
鑑賞:「そよやそよ」そうです、そのとおりですよ。
「かひ」は甲斐と谷間の峡(かひ)をかける。峡は山の縁語。
歌意は「そうですよ、なぜ山へお出かけにならなかったのでしょう。今朝になって悔やんでも何の甲斐もありません。」
参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社
