智永千字文の筆つかいにみる(14)楷書と草書

14.垂拱
釈文:「垂拱平章」
鑑賞:「垂拱」衣の袖を垂れ、手をこまぬくの意。何もしないで傍観すること。

「平章」ひとしく明らかに民を治めること。天子が上で垂拱していると、下では人々が平和に徳のある生活をおくる。

これは堯・舜の治世によって天下が太平であったために、『書経』に「百姓を平章せしめ、百姓昭明なり(人びとの間を和らげ、徳のある生活をさせると、人びとの行いは明らかなものになる)と言う。

参考文献:千字文 小川環樹他注解 岩波文庫