智永千字文を鑑賞・臨書して(4)草書を楽しむ

4.剣を
釈文:「劔号臣闕 珠稱夜光」
書き下し文は「剣を臣闕(きょけつ)となづけ、珠を夜光となづく。」

現代語にすると「剣は臣闕と呼ばれたものが名高く、珠は夜光と呼ばれたものが名高い。」

鑑賞:「臣闕」は剣の名で、昔、趙王が有した五張の宝剣のうち最上のものだった。隣国の王が、見せてもらうために三千疋の駿馬を差し出したが、かなわなかった。

「夜光」は楚王がもっていた真珠。昔、楚王の家臣である隋侯が助けた蛇が、恩に報いるために吐き出した珠は真珠だった。実はその蛇は姿を変えた海竜王の子だった。隋候は楚王に真珠を献上し、王は館の中においたが、夜にいつも光り輝いていたことから、「夜光の珠」と呼ばれた。

参考文献:千字文 小川環樹他 岩波文庫