「千字文」智永にみる草書の筆法(4)臨書して

4.雲は空に
釈文:「雲騰致雨」
書き下し文は「雲のぼって、雨を致す」


現代語にすると「雲は空に騰(のぼ)って、雨を降らせ」
鑑賞:『易経』に「雲行き、雨施して、天下平らかなり」という。君主が徳をもっていれば、雲が感応し雨となるが、徳がなければたとえ密雲があっても、雨は降らない、とある。

昔、殷の湯王の頃、大きな旱魃が起こり、祈ったが雨は降らなかった。王は自らの徳の至らなさを思い、天に我が身を捧げる覚悟で周りに火を放った。その時にわかに雲が起こり、雨が降った。

参考文献:千字文 小川環樹他編 岩波文庫