「千字文」智永にみる草書の用筆(1)臨書して

1.右旋回の筆法
楷書の横画や縦画、転折などを速く書いたり崩したりすると、自然に丸みが加わって右旋回の運筆となる。智永千字文では右旋回が大変に多いけれど、右手に筆を持つ場合は意外と書きやすい。

右旋回の初歩の練習としては、初めに筆を立てて右回りにぐるぐると回す。次に少し左右に倒して回す練習をする。書き方も大小や遅速をつけたり、筆圧の強弱をつけてみる。

この練習の繰り返しによって、筆の動きがだいたい安定してくると、今度は鋒先の弾力を意識して書いてみる。どのように筆峰が働くかの理解を深めていくのである。

智永は速筆でなく、ゆったりとした気分でおおらかなところが魅力であるから、形ばかりを追わないように留意したい。

参考文献:智永千字文 近藤摂南編 二玄社