恋しさのます塩焼き衣(8)和泉式部日記から
8.二人の言葉も
釈文:「『ことの葉ふかくなりにけるかな』とのたまはすれば、『白露のはかなくおくと見しほどに』」
選字は「こ登乃葉布可供奈利耳遣流可奈 と能多まは春連八 し羅つゆ能盤可那久お具登三志ほと爾」
鑑賞:「ことの葉ふかくなりにけるかな」歌意は「檀の葉が紅葉したように、二人の間のことばもこまやかになってきましたね」宮は謎かけのように下の句を詠みかける。
これに対して女は趣のある「白露のはかなくおくと見しほどに」と返す。歌意は「白露が葉の末にほんの少しあるように、宮さまのかりそめのおなさけをいただくと思っておりました間に」
参考文献:和泉式部日記 清水文雄校注 岩波文庫