月見ぬ夜更けての文(3)和泉式部日記を書いて

3.心やゆきて
釈文:「思ひかけぬほどなるを、心やゆきて、とあはれにおぼえて、妻戸おしあけて見れば」

選字は「於毛飛可けぬ本と那る越心 やゆ支傳とあ者れ爾お本盈て妻戸おし あ介亭見連八」

鑑賞:「心やゆきて」は「夜な夜なは目のみさめつつ思ひやる心やゆきておどろかすらむ」(御拾遺集、恋四、道命法師)によるそいう説がある。

ただし道命法師は藤原道綱の子であり、和泉式部と同時代であることから疑問が残る。二人の関係は、のちに伝説として伝わった。

参考文献:和泉式部日記 清水文雄校注 岩波文庫