新春の俳句を書いてみる(1)かな書道をはじめる

1.書初めの句を
釈文:「書初や難波津のよしあしくとも」(鳴雪)

選字は「書初や なにはづのよし あしくとも」

句意は「書初は上手や下手にかかわらず書くものだ」


鑑賞:「難波津」は『古今和歌集』仮名序に「安積山」の歌とともに代表的な古歌として引用する。「難波津(なにはづ)に咲くや木(こ)の花冬ごもり 今は春べと咲くやこの花」

「難波津」は難波(今の大阪)の港。「冬ごもり」は「春」にかかる枕詞。

歌意は「難波の海辺に咲き出した、この梅の花よ。今は春となり、自らの季節の到来と咲いている、梅の花よ。」王仁が、梅の開花によせて仁徳天皇に即位を勧めた歌という。

この句の作者である内藤鳴雪は明治に入り、正岡子規の影響で俳句を始める。江戸の生まれ。平明温雅な作風で日本派の長老を仰がれた。

参考文献:かな墨場辞典俳句編 飯島春敬編 東京堂出版