心ほぐれた宮と贈答歌「手枕の袖」を想いだし(3)

3.もっともなことと
釈文:「ときこえさせたれば、笑はせ給ひて、『ことわりや今は殺さじこの童 しのびのつまの言ふことにより』」

選字は「登き故えさせ多れ者笑盤せ給ひて 『許とわ里や今者こ露さしこ能童 し乃比の徒まのい布こ登二よ利』」

鑑賞:「笑はせ給ひて」女が童の命乞いにかこつけて、宮への思いを伝えたことを好ましく思ったことから。

歌意は「あなたの言うことはもっともだ。もうこの童を殺めようなどと思わない。この童を仲介にしなければならない忍び妻であるあなたの言うとおりにしよう。」

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社