心ほぐれた宮と贈答歌「手枕の袖」を想いだし(1)和泉式部日記より
1.したり顔に
釈文:「『けさしたり顔におぼしたりつるも、いとねたし。この童、殺してばや、とまでなん 朝日影さして消ゆべき霜なれど うちとけがたき空の気色ぞ』」
選字は「遣佐し多利かほ耳お本志多里徒る毛 いと年た亭こ能童こ路して者やとまて那無 朝日可希佐して消ゆ遍支霜奈れと う地登介可多記曽羅農け志支所」
鑑賞:「けさしたり顔におぼしたりつるも、いとねたし」今朝、女が歌を先に送って得意げな顔をしていると思うと宮は悔しい。
歌意は「朝日がさしてしもが溶けて私の気持ちも晴れてきそうですが、一向変わらない空模様のように打ち解けそうもない私の気持ちです。」
参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社