霜白き朝に童が遅れて(9)和泉式部日記から

9.もう怒らずに童にうちとけては
釈文:「ときこえて、この童の『いみじうさいなみつる』と言ふがをかしうて、端に、『霜の上に朝日さすめり今ははや うちとけにたる気合みせなん』いみじうわび侍るなりとあり。」

選字は「度支こ盈てこ能童のい三しう佐意奈みつると い布可越可しう天者志に 『し毛能上耳朝日さ須めり今者はや 有遅登け爾多類遣斯支見せ難無』いみしうわひ侍る奈梨とあ里」

歌意は「霜が朝日に溶けるように、今はあなたの気持ちがほぐれたことを童に見せてあげてください。」

鑑賞:童の遅参により、機嫌を損ねた宮に叱られた童はすっかりしょげていたことを見て、女が口添えをする。

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社