行書般若心経-真実不虚(4)集字聖教序より

4.求めても
求めても求めても得られない悲しみは計り知れない。対象は金銭、財産、地位、権力、名誉と姿を変えながら、それらを追い求める欲望には際限がない。

しかし、すべてはこの手の中にある。ただ満たされた自らの様子に気づかないばかりなのだ。仏法を得ようとして、ひたすらに道を進むのではその求める心に縛られてしまう。

それを仏縛、法縛とよび、生悟りという。解脱しようと求めた仏法がひっかかり、わからなくなる。仏法を知って真実がわからなくなることがある。

そういう余計なことはいらない。禅宗では見性大悟することである。何か特別な世界があるわけではなく、ただ、この現実の世界にいる、それだけのことである。

参考文献:般若心経講和 鎌田茂雄著 講談社学術文庫