行書般若心経(8)集字聖教序より
8.五薀とは
釈文:「照見五薀皆空 度一切苦厄」
観自在菩薩が、般若の教えを体験せられた結果は、「五薀は皆(みな)空なりと照見せられて、一切の苦厄を度せられた」
すなわち、一切の苦がなくなって、この世の中は全て空であることが、はっきりとしたということである。
ここで「五薀」と「空」ということばは何か。まず「五薀」は、五つの集まったもので、全て動いている状態にある。それは色・受・想・行・識である。
色は形あるもの、物質的存在のことである。受・想・行・識は物にたいする心、精神作用を表す。心理学上の語でいえば感情、知覚、意志、意識にあたる。
したがって五薀とは有形の物質と、無形の精神との集合を意味する。仏教の根本的見方である物心一如、または色心不二となる。
参考文献:般若心経講義 高神覚昇著 角川文庫