行書般若心経(7)集字聖教序より
7.行とは
釈文:「行深般若波羅蜜多時」
書き下し文は「深般若波羅蜜多を行ずる時」
鑑賞:「行」行ずるとは特別な修行をすることではない。日々の行いをすることである。
今北宗温の『般若心経捷解』によると「行ノ義別二心ヲ用ヒテ行スル二非ズ。行住坐臥一切事上、則チ深般若ノ行ナリ。」という。「行」とは心を用いるのではなく、行住坐臥の日常の中に深般若を行ずればよい。
しかし、日々の暮らしの中では、自分の都合や利益を第一に考える我見がはたらいてしまう。ものを見る見方にしても、自分が中心になって全体を見ることができない。
こうした我見をもとにすると、般若の行をなすことはできないのである。
参考文献:般若心経講和 鎌田茂雄著 講談社学術文庫