行書般若心経(1)集字聖教序より
1.聖教序の心経
釈文:「般若波羅蜜多心経 沙門玄奘奉 詔譯」
書き下し文は「般若波羅蜜多心経 沙門玄奘 詔を奉じて訳す。」
鑑賞:現在、聖教序の碑は西安碑林に並べ置かれているが、元々は唐の高宗(672年)に長安の弘福寺内に立てられたものである。全て懐仁(えにん)が王羲之の行書を集字したもの。
聖教序とは、玄奘三蔵法師がインドから持ち帰った仏典を、新たに漢訳して唐の太宗に奉じ、この業績に対して「大唐三蔵聖教序」が下賜された。集字聖教序は、玄奘の謝意に太宗と構想が答えた書と般若心経とが書かれている。
一般的には楷書の般若心経を目にする機会が多いが、行書の心経にはまた異なる力がある。
参考文献:集字聖経序 王羲之 二玄社