山のあなたに(4)和泉式部日記より
4.無明長夜
釈文:「かくてすぐすも明けぬ夜の心地のみすれば、はかなきたはぶれごとも、言ふ人あまたありしかば、あやしきさまにぞ言ふべかめる」
選字は「可久天寸具春裳明希 ぬ夜農心地すれ盤ヽか奈支多は布連こと茂言ふ 人あま多阿利し可者あや志支佐万爾所言ふ 遍可免る」
鑑賞:「明けぬ夜」は無明長夜。衆生が煩悩にとらわれ、真理をえられず、悟りの境地に達しないことを、明けることのない長い夜にたとえた。仏教語。
「あやしきさまにぞ言ふべかめる」よくない噂話などをすることになるだろう。
参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社