空ゆく月にも(6)和泉式部日記より
6.忘るなよ
釈文:「まことに聞くことのありて、制することなどあらば、空行く月にもあらん。」
選字は「万許と爾聞九こと能あ里傳せ意須ること奈と阿 羅八空行九月耳毛阿ら無」
鑑賞:「まことに聞くことのありて」宮の兄の東宮や道長の耳に入り、噂が本当だと思われて外出を禁じられること。
「空行く月にもあらん」は「忘るなよ程は雲居になりぬとも空行く月のめぐりあふまで」(拾遺集・雑上)橘忠幹の第四句を引き、二人の縁遠い仲を象徴したとされる。
参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社