あかつき起きの文に五首贈答歌その二(1)和泉式部日記から

1.まどろみもせずに
釈文:「まどろまであはれいく夜になりぬらん ただかりがねを聞くわざにして」

選字は「まと路万てあ盤れい具夜耳奈利ぬら無 多ヽ閑りか年越支倶わさにし天」

鑑賞:「まどろまで」うとうと眠ることなく。「ただかりがねを聞くわざにして」ただ雁の鳴き声を聞くのを、夜ごとの仕事にして。

歌意は「うとうとと眠りもせずに、幾つの夜を過ごしたことでしょう。毎晩、雁の鳴き声を聞いているばかりで。」

参考文献:和泉式部日記 清水文雄校注 岩波文庫