夜が明けようとする暁に文を(4)和泉式部日記より

4.やっと起こしても
釈文:「からうじて起こしても、ここかしこのものにあたりさわぐほどに、たたきやみぬ。帰りぬるにやあらん、いぎたなし、とおぼされぬるにこそ」

選字は「可羅う志て起こしても古ヽ かし故農も能耳あ多里佐利久本登 爾堂ヽ支や万ぬ帰利ぬ流耳や阿ら无 伊支多なしと於本さ連ぬ類爾こ所」

鑑賞:「からうじて」ようやく。「さわぐほどに」大騒ぎしている間に。「帰りぬるにやあらん」以下は女の心。倒置法で、「いぎたなし、とおぼされぬるにこそ」は「帰るにやあらん」の理由を説明する。

「いぎたなし」寝起きが悪い。

参考文献:和泉式部日記 野村精一校注 新潮社