夜が明けようとする暁に文を(3)和泉式部日記より

3.秋という季節のせいか
釈文:「すべてこのころは、をりからにやもの心細く、つねよりもあはれにおぼえて、ながめてぞありける。あやし、たれならん、と思ひて、前なる人を起こして問はせんとすれど、とみにも起きず。」

選字は「須遍てこの古 露者をりからにや毛の心細くつ年よ梨も あ者れにお本盈弖難可免て所利希る 阿やし多れ奈ら無と於も日て前奈流 ひと越おこし傳と者勢无と春れとヽみ二 裳於支寸」

鑑賞:「をりからにやもの心細く」この秋という季節のせいか。「ながめてぞありける」もの思いにふけっていた。「前なる人」女の御前にいる人。侍女もしくは老女。「とみにも起きず」すぐには起きない。

参考文献:和泉式部日記 野村精一校注 新潮社