野分の風に(4)和泉式部日記から

4.秋風は
釈文:「御返し あき風は気色吹くだに悲しきに かきくもる日は言ふ方ぞなき げにさぞあらむかし、とおぼせど、例の、ほど経ぬ」

選字は「御返し あ支風盤希志き吹久多に悲し支二 閑きく裳流日者言ふ方楚奈伎 遣耳阿ら无可志と於本せと例農 ほ東遍ぬ」

鑑賞:「気色吹く」はほんのわずかばかり吹く風。「かきくもる日」は宮の歌の下の句を受けて、空が一面に曇り、激しい風の吹く日。

歌意は「秋風はわずか吹いただけでも悲しい思いなので、このように曇っている日は言いようがないことだ。」

参考文献:和泉式部日記 清水文雄校注 岩波文庫