逢坂の関を越えてたづねてきた人は(2)和泉式部日記から

2.深い信仰心から
釈文:「『いと心深う入り給ひにけるをなん。など、かくなん、とものたまはせざりけん。ほだしまでこそおぼさざらめ、おくらかし給ふ、心憂く』とて」

選字は「いと心ふ可う入 り給ひ二希流をな無なとか久那无登もの多 万盤勢さ利介無ほ多しま亭こ所於本さ 佐羅めお久ら駕志多まふ心憂くとて」

鑑賞:「いと心深う入り給ひに」とても深い信仰心から石山寺に入られたと。「ほだし」絆。仏道修行の妨げになるような現世の事柄や人間関係をさす。どうして私のことを気にしていただけなかったのでしょうか。

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社