秋八月になり、石山参籠へ(5)和泉式部日記を書いて

5.欄干の下の方で
釈文:「いともの悲しうて、まめやかに仏を念じたてまつるほどに、高欄に下の方に、人のけはひのすれば、あやしくて、見下ろしたれば、この童なり。」

選字は「意と毛能可那しうてま免 や可耳仏を念し多てま徒る本と二高欄の し多の方爾人農希者飛乃須連八あや志具 亭見下ろ志多れ者この童那利」

鑑賞:「高欄」ぬれ縁の外側に設けた欄干。「人のけはひ」底本は「人けはひ」で、人の動く様子。

大意は「何となくとても悲しくて、心をこめて仏事を祈っていたところ欄干の下の方に人が動く気配がしたので、不思議に思って見下ろすと、この童だった。」

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社