八月秋になり、石山参籠へ(1)和泉式部日記を書いて

1.このように時が経ち
釈文:「あはれにはかなく、頼むべくもなきかやうのはかなしごとに、世の中をなぐさめてあるも、うち思へばあさましう、かかるほどに八月にもなりぬれば」

選字は「あ盤れ耳者可那具多能無へ久毛奈支 やう農は可奈しことに世の中越奈九さ 免亭あるもう遅於も遍者あ佐万しう可ヽ流本と爾八月耳毛那里ぬ連八」

鑑賞:「あはれにはかなく」以下は女の心。「はかなしこと」はとりとめのない歌の交換。「世の中を」憂き世の中、の意。「世」は男女のこと。

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社