秋の寝覚め、夕べの訪問(9)和泉式部日記より

9.二日ほど経ち
釈文:「かくて二日ばかりありて、夕暮れに、にはかに御車を引き入れて下りさせ給へば、まだ見えたてまつらねば、いと、恥ずかしう思へど」

選字は「か九て二日は可り阿里弖夕暮れ爾ヽ盤可耳御車を比支入連て下利佐せ給へ八 ま多見盈多傳まつらね盤いと恥可しう 思へと」

鑑賞:「まだ見えたてまつらねば」通説では「夕暮れにはまだお目にかかったことがないので」。また、一説には「あれ以来再びお会いしていないので」とし、宮が女の浮気を咎めてから、の意とする。

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社 和泉式部日記 清水文雄校注 岩波文庫