宮さまにお逢ひできなくてもせめて(1)和泉式部日記を書いて

1.宮は心憂く

釈文:「宮は、ひと夜のことを、なま心憂くおぼされて、久しくのたまはせで、かくぞ。」

選字は「みや者ひと夜のこと越奈万心憂く於本さ連 亭久し九農たま勢て可里所」

鑑賞:「ひと夜のこと」先夜、他人の車を見たこと。「なま心憂く」いささか憂鬱になられて「なま」完全でない、やや中途半端、の意。

鑑賞:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社