鳥の羽に文をつけて(7)和泉式部日記より
7.あの晩のように
釈文:「ひと夜見し月ぞと思へばながむれど 心もゆかず目は空にして」ときこえて、なほひとりながめ居たるほどに、はかなくて明けぬ。」
選字は「一夜見し月楚と思遍八奈可無れと心も 遊可須免者曽羅耳志傳 と支こ盈天奈ほ日とりな可免居多流本と爾者か奈久て明希ぬ」
鑑賞:「目は空」の「そら」に「空」をかけた。「空」は「月」の縁語。
歌意は「先夜ご一緒に見た月だと思いますと、こうして眺めていても、心も晴れないことです。ぼんやりと空を見つめるばかりで。」
参考文献:和泉式部日記 清水文雄校注 岩波文庫