鳥の羽に文をつけて(3)和泉式部日記より
3.鳥の声を聞くつらさは
釈文:「御返し 『いかにとはわれこそ思へ朝な朝な なき聞かせつる鳥のつらさは」と思ひたまふるも、にくからぬにや』とあり。
選字は「御返し 以可耳登者われこ所思へ朝なあ佐奈 難支聞可せ徒る鳥の川羅さ盤と於も飛多流毛耳久可らぬ二や登あ利」
鑑賞:「にくからぬにや」反語表現。「にくからぬにやあらむ」の略。
歌意は「朝ごとに時を知らせてくれた鶏のつれなさがどのようなものだったかは、よく思い知っております。と思われ、どうして憎くないことがあるでしょうか。」
参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社