古より「鳥の音つらき」といふけれど(1)

1.今夜は方塞りなので

釈文:「『さらにかかることは聞かじ。よさりは方塞りたり。御迎へに参らん』とあり。あな見苦し、つねには、と思へども、例の車にておはしたり。」

選字は「沙ら耳可流こと者記可し夜さり盤方塞 里多理御迎へ爾よ井ら无と阿利あ奈見久 流しつ年耳者登思遍と裳例の車二亭於盤志多利」

鑑賞:「方塞り」とは陰陽道で天一神・太白神などが当る方角を避けること。女の家が、宮の邸から「方塞り」に当たるため、伺えないから迎えに参りましょう、と述べた。

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社