花たちばなの香をかげば(3)和漢朗詠集を臨書して
3.昔の人の袖の
釈文:「さつきまつ花たちばなの香をかげば むかしの人の袖の香ぞする」
選字は「さつ支万徒者那多ちはなの可を可介は む可しのひと能所ての可所春る」
鑑賞:「さつきまつ花たちばな」橘は五月になって咲くから。「袖の香」昔は服に香をたきしめた。
『古今集』夏に「題しらず 読人しらず」として出る。『伊勢集』下、『伊勢物語』にも出。他にも『和泉式部日記』『提中納言物語』にも引用される。
現代語にすると「五月に咲く橘の花の香りをかぐと、昔の人が袖にたきしめていた香がかおる。」
参考文献:和漢朗詠集 川口久雄訳注 講談社学術文庫