夏を涼みつつ朗詠したい詩歌を(5)和漢朗詠集より

5.燕の昭王が

釈文:「燕昭王招涼之珠 当沙月◽️自得。」
書き下し文は「燕の昭王が招涼の珠 沙月に当って自ら得たり」

鑑賞:「燕の昭王が招涼の珠」燕の昭王に献上した貝の中から出た珠を王が懐に入れると夏でも体が涼しくなったということから名付けた。

また、この句に由来して『謡曲』「班女」にも「風のたよりと思へども、夏もはや杉のまど秋風ひややかに吹き落ちて、団雪の扇もゆきなれば、名をきくもすさまじくて、秋風うらみあり」とある。

現代語にすると「また砂石を月が涼しく照らすので燕の昭王の招涼の珠を手に入れた気持ちだ。」

参考文献:和漢朗詠集 川口久雄訳注 講談社学術文庫