夏を涼みつつ朗詠したい詩歌を(3)和漢朗詠集より

3.心を静かにすれば

釈文:「不是禅房無熱到 但能心静即身涼」
書き下し文は「是禅房に熱の到ること無きにあらず ただ能く心静かなれば即ち身も涼し」

鑑賞:『白氏文集』「熱きに苦しんで、恒寂師の禅室に題す」詩。大江千里『句題和歌』に下句を題として「我心しづけき時はふく風のみにはあらねど涼しかりけり」と詠んでいる。

現代語にすると「恒寂禅師の禅房に夏の暑さが来ないということはない。ただ禅房は心を静かに保って乱れないので、からだも涼しいのだ。」

参考文献:和漢朗詠集 川口久雄訳注 講談社学術文庫