夏の夜に口ずさみたい詩歌(3)和漢朗詠集を書いて
3.空夜に
三行目の釈文:「空夜窓閑蛍度後、深更軒白月明初」白
書き下し文は「空夜に窓閑かなり蛍度って後、深更に軒白し月の明らかなる初め」
鑑賞:「空夜」月がまだ上らない夜の空。「深更」夜更け。書は草書が多く使われ、行書がそこに混じる。行商書の文体である。字の大小を巧みに用い、字幅の広狭を表している。
現代語にすると「まだ暗い夜の空に窓の前を蛍が飛んでいった後、あたりは静まり返った。夜が更けて、月が上り始めると、軒の端あたりが光を受けてほの白く見える。」
参考文献:和漢朗詠集 川口久雄訳注 講談社学術文庫