初夏の暁、更衣の日に(2)和漢朗詠集より
2.すずしの夏衣がえ
釈文:「生衣欲待家人著 宿醸當招邑老酣」讃州作 管
書き下し文は「生衣(すずしのきぬ)は家人を待ちて著むと欲す 宿醸はまさに邑老を招いて酣(たけなわ)なるべし」
鑑賞:「生衣」生絹の衣。「宿醸」秋からかもしておいた酒が、春になって熟してきたもの。「酣なるべし」酒の楽しみ。過度に酔わず、また醒めもしないほどの酔い。
『管家文草』「四年三月二十六日作」の詩。晩春の作だが、「生衣」が詠まれているため「更衣」に入る。
現代語にすると「すずしの夏衣は家人が仕立てるのを待って着用しよう。去年の秋から醸造しておいた酒で、お招きした村の古老とほろ酔い気分になろう。」
参考文献:和漢朗詠集 川口久雄訳注 講談社学術文庫