つごもりの日、しのび音のほととぎす(12)和泉式部日記より

12.というようにでも

釈文:「とこそ思ひ給ふべかりぬべけれときこえて、参りて三日ばかりありて帰りたれば」

選字は「とこ所思比堂満ふ遍可りぬへ介れと幾こえ 亭ま井里弖三日は可利あ梨てか遍り多 連八」

鑑賞:「とこそ思ひ給ふべかりぬべけれ」は長々しい言い方であるが、これは宮の「帰り給ふべからん」に応じたものである。

前の女の歌「をりすぎて・・・」の真意は「今宵お寺に詣でないとすれば、時期を逃してせっかくの精進が無駄になってしまいましょう。でも宮様からお誘いがあれば、心が乱れて今宵のお寺参りをためらってしまいます。」

大意は「というふうにでもお思いくださったらと考えております。と申し上げて、お寺に参って三日ばかり居り帰ってきたら」

参考文献:「和泉式部日記 和泉式部集」 野村精一校注 新潮社 「和泉式部日記」 清水文雄校注 岩波文庫