つごもりの日、しのび音のほととぎす(11)和泉式部日記より

11.時が過ぎれば

釈文:「をりすぎてさてもこそやめさみだれて こよひあやめのねをやかけまし」

選字は「越里寸き傳さて裳こ楚や免沙三多れ天 こ夜飛あやめ農年遠や可希万し」

鑑賞:難解な歌と言われ、定訳がない。「あやめ」五月五日の節句の景物。「五月雨」に「さ乱れ」をかける。「ね」は「根」と「寝」をかける。

歌意は「五月雨も時が過ぎれば止むことでしょう。私もそのうちに帰って参りましょう。節分には邪気を払う根を軒にかけてかけて置きましょう。」

参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社