つごもりの日、しのび音のほととぎす(1)和泉式部日記より
1.ほととぎすは四月に
釈文:「つごもりの日、女、
ほととぎす世にかくれたるしのび音を いつかは聞かんけふもすぎなば」
書き下し文は「徒こ裳里能日女
本度ヽ支須世耳可九連多流志の飛年遠 い徒可盤き閑无希ふも春支難者」
鑑賞:「つごもり」ツキゴモリ(月隠)の約。月の最終日。この場合、四月三十日。「しのび音」に「忍び寝」をかける。
歌意は「ほととぎすは四月中までは声を忍ばせて鳴くと申しますが、あなたは兄上様と同じ枝のほととぎすとのことでしなが、四月末になっても、その忍び音さえも聞かせてくださいませんね。本日がすぎたらいつになることやら。」
参考文献:和泉式部日記 和泉式部集 野村精一校注 新潮社