有明の月、雲までも平通宗を思い出し(1)建礼門院右京大夫集を書いて
1.豊の明りの節会
釈文:「そののちも、このことをのみ言ひあらそふ人々あるに、豊の明りの節会の後、さえかへりたる有明にまゐられたりしけしき、優なりしを」
選字は「所のヽ遅もこ能古とを農見言比あら曽婦 人々阿る爾豊の明り乃節会の夜佐え可 遍利たる有明耳まゐられ多里し遣し支以う那利志を」
鑑賞:「有明」月が空にまだ残っているとき、夜が明けてくること。またその頃の月。特に二十日以降の月にいう。
大意は「その後も言い争ったりしていたが、豊の明りの節会の後、冴わたる月の光の夜、参内された通宗はまことに優雅であったが。」
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社