父君を亡くされた平親長と贈答歌を(5)建礼門院右京大夫集より
5.庭の草葉も
釈文:「露消えし 庭の草葉は うらがれて しげきなげきを 思ひこそやれ」
選字は「露き盈し庭農久佐者ヽう羅可 連傳志希支難介きを思日故曽やれ」
鑑賞:「うらがれ」草木の梢や葉が枯れる意味。「しげき」は「繁木」と懸言葉。「なげき」には「庭の草葉」、「繁木」の縁語の「き(木)」がかかっている。
現代語にすると、「露のように、はかなく亡くなられた父君のお邸で秋も過ぎ、庭の草の枯れるにつれて、どんなに深いお嘆きのことかと推察しております。」
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社