彦星と織女が出逢ふ・六首〜十二首を書いて(2)建礼門院右京大夫集より
2.二つの星影を写して

釈文:きかばやな ふたつの星の 物語り たらひの水に うつらましかば」
選字は「記可者や奈婦多川の星農茂の可多里 堂羅ひの水耳う徒らま志か盤」
鑑賞:今宵は七夕。たらいに水を汲んで空を写してみましょうか。「たらひの水」とは七夕の日にたらいに水を汲み、夜空の星を写してたらいの水をゆすると、離れ離れになっていた二星が一緒になったようにみえたという習わし。
歌意は「今宵は聞いてみましょう。二つの星の物語をたらいの水に写してどのような話をしているのかを。」
参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社