彦星と織女が出逢ふ・六首〜十二首を書いて(1)建礼門院右京大夫集より

1.天の河を漕いで

釈文:「天の河 漕ぎはなれゆく 舟の中の あかぬ涙の 色をしぞ思ふ」

選字は「天の河こきは奈連遊久舟能中の あ駕ぬ涙乃い路をし曽思不」

鑑賞:「あかぬ涙の色」は悲しみのあまり血のような涙を流すことから紅色とも、涙を流して泣く様子ともいわれる。

歌意は「夜が明けて、彦星と織姫がそれぞれに天の河を漕いで離れて行く時の舟の中で嘆き悲しむ様子はいかがだろうか。想像してみるにしみじみとする。」

参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社