ほととぎすの初音を聞きながら(2)建礼門院右京大夫集より

2.時鳥は

釈文:「明けがたに 初音ききつる ほととぎす
    死出の山路のことをとはばや」

選字は、「明け可多耳初音支ヽ徒る本とヽ記
     寸し傳乃やま遅のこと越とハヽや」

鑑賞:「ほととぎす」は冥土から来るという言い伝えがある。「死出の山路」は亡くなった後に行く、冥土にある山。ほととぎすは死出の山から来て農作業を勧めることから、別名死出の田長(たおさ)という。

『枕草子』に「いかで人よりさきに聞かむ」と人々がほととぎすの初音を待ち望んでいることが書かれており、日頃から亮森のことが頭から離れない作者は「死出の山路」の連想が浮かび、時鳥に尋ねてみようと歌を詠んだ。

参考文献:建礼門院右京大夫集 糸賀きみ江校注 新潮社