懐素の自叙帖を臨書する(3)狂草と言われて

3.欠けた行は

本幅の後には別紙に宋初の杜衍以下、諸名士の題記がある。それによると、蘇氏が蔵したとき前一紙六行を書いていたので、蘇舜欽が補ったという。

釈文はすでに蘇軾の項で書いたが、通覧しておこう。
釈文:「懐素家長沙。幼
    而事佛。経禅之
    暇。頗好筆翰。」

鑑賞:「佛」はやや行意が見られるが、直筆の書線が生かされている。

参考文献:自叙帖 懐素 藤原有仁解説 二玄社