蘇軾の絵画論を書く(4)その一
4.自然の巧みとは
鑑賞:「天工與清新」「自然」と「人工」が書の世界では六朝時代から重視され、両者が共に評価できる作品が理想とされてきた。
蘇軾はここで二つの概念を融合した、「天工」を一つの創作の原理として考えた。それでは、自然な「巧」または自然な技とは何か。
現代では自然と人間は離れた存在と思うかもしれないが、中国で自然というときには、人が含まれる。元来、気のはたらきで世界ができていて、その気のはたらきによって、花が咲き、木々が色づくと考えられてきた。
造形力の源である「気」によって、人が作品を作ることこそ、「造化と一体になる」のである。書作品の自然な巧みに通ずる。
参考文献:中国絵画入門 宇佐美文理著 岩波新書