前赤壁賦を臨書して(5)蘇軾の意を汲む
5.とても広々として
釈文:「浩ヽ乎如馮虚
御風而不知其所止飄々乎
如遺世獨立、羽化而登仙。」
書き下し文は「浩浩乎として虚に馮り風に御して、その止まる所を知らざるが如く、飄々として世を遺れて独立し、羽化して登仙するが如し。」
現代語にすると「とても緋色美路として、あたかも虚空に身をまかせ、風に乗ってひらひらと身軽になり、俗世間のことは忘れて、ただ一人羽が生えて仙人になり、どこまでも飛んでいくような気がした。」
鑑賞:「獨」は他の字形に比して行体で、墨が入った線は力強い。
参考文献:漢詩と名蹟 鷲野正明著 二玄社