続・蘇軾にみる精神性(7)黄州寒食詩巻(其のニ)より
7.精神性とは
そもそも精神性とは何だろうか。その問いに中国絵画の精神性について論じた『中国絵画入門』宇佐美文理著をひもときたい。
たとえば、絵画を見てその美しさが心にインパクトを与える、そのことを精神性とは呼ばない。あえて言えば、「絵画がまるで言葉によって語りかけ、それに絵を見ている人間がこたえているようなもの、それを精神性と呼ぶ。」
ひるがえって蘇軾が顔真卿の書に心酔したのは、その人間性にあったと言われている。顔公の書を目にした人は、高潔で立派な人格を体現している書であることを実感する。
参考文献:中国絵画入門 宇佐美文理著 岩波新書